命溢れる園庭へ

台風が過ぎ去り、幼稚園は今日も快晴。空の青と相まって園庭の緑がより一層濃く感じられるようになってきました。春とはまた違った自然の深まりが見られています。

今回はちょっといつもとは視点を変えて、子どもたちいつもあそんでいる園庭環境の今の様子をお伝えしたいと思います。

  

左が4月で右が今日現在の同じ場所の様子。明らかに草が生い茂っているのがわかりますね。外はカンカン照りでもこうして園庭のちょっと奥に入って行くと、木々が木陰を作り、自然の休憩場所が。

大人が通ろうとすると、枝を避けたり、くぐったりしなくてはいけないのに、子どもたちはササッと駆け抜けて行きます。子どもたちの大きさに合わせて道ができている獣道ならぬ”こども道”

  

畑も4月の頃に比べればその違いは一目瞭然!日々、子どもたちが世話をし、育った夏野菜を収穫して各クラスでいただいています。

園庭の北側フェンスに面して西の端まで連なっているアオキ。年々成長し、今では子どもたちの背丈よりも大きくなっています。

そんなアオキとフェンスの間には…ここにも”こども道”が。

緑の中に続く小さい道はさながら某アニメーション映画を彷彿させます。(ト~ト~ロ~と大きな声を出す幻の大生物が雨の日に隣に現たりするアレです。)

  

木々の中のちょっとしたスペースは時には秘密基地に、時にはお店屋さんに、時にはお家に。

うさぎ広場となりの「どんぐりのせいくらべ」木の苗を植えたわけではなく、以前勤めてくださっていた運転手さんが、園外で拾ってきたドングリをせっせと植えてくれて、今ではこんなに大きくなりました。ナカムラさん、みてますか!?感謝です。

去年は秋にかけてヤゴが大発生した井戸水から繋がる小川。こちらも子どものあそび場と、生き物の住処と両方の機能を持つ環境として位置づけていきたいのですが…途中で水があふれてしまったり、泥沼のようになっていたりと、まだまだ整備の余地がある環境のひとつです。

おもろこ池では昨年放流したアカハライモリの家族らしき集団がたびたび目撃されています。他にも、メダカや、ドジョウ、カワバタモロコなど、寒い冬には全く姿を見せないのに、しっかりと氷のしたでも生活していたんですね。

 

簡単ではありますが、今回は園庭の様子をお伝えいたしました。見ていただいたらわかるように、井上幼稚園の園庭にはたくさんの木々や草花が生い茂り、様々な実が実り、そうした自然物が明暗や凹凸を作り、より園庭の環境を複雑にしています。そうした環境を好み、様々な生き物の住処(ビオトープ)ともなっています。そして不思議なことに、生き物が好きな環境は子どもたちも大好き!私たちの、意図や想像を良い意味で裏切りるようなあそびが日々展開されています。しかしそうした環境には危険が付き物です。飛び出た枝や、地面のぬかるみ、大人の目が届きにくい場所…などなど。それでも、一見危険に思える環境も、子どもたちにとってみれば、魅力的なあそびの場に。複雑な環境があるからこそ、その中で、あそびが発展したり、普段はできない経験や発見があったりするのだと思います。また環境を通したあそびを行う中で、「これをやったらまずいな」「こっちはあぶないな」といった危険を自分で察知し回避、改善しようとするいわば危機管理能力も身につくのだと考えてます。こうした、”環境を用いたあそびを作り上げていく力”や、”危険を察知する能力”というのはそのうち身につくものではなく、日々の経験の積み重ねの中で培われるものです。もちろん、あまりにも危険な環境や状況は取り除いていきますが、できる限り自然を活かし、生き物のも子どもも生き生きと躍動的に活動する場として園庭の環境を作っていけたらと考えています。「命溢れる園庭へ」8年前より掲げている園庭のテーマをこれからも胸に、子どもたちと過ごしていきたいです。

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